JMECCの受講が院内発生の急変対応に役立った事例の紹介

杏林大学医学部付属病院総合医療学レジデント 植地貴弘

2013年12月1日夜、胸痛を主訴に杏林大学医学部付属病院1・2次救急外来を受診された50歳台の男性患者の待合室で突然意識消失となり、JMECCの受講経験が役に立った症例がありましたのでご紹介します。

21:05 受付を済ませた直後に待合室で突然意識消失して昏倒、目撃していた受付事務員が救急外来看護師に連絡しました。

当院でのJMECCを手伝ってくれている1名のベテラン男性看護師が直ぐに患者の元へと駆けつけ、心肺停止状態であることを確認。

21:06 男性看護師が胸骨圧迫を開始。

他の女性看護師が診療エリアに救急カートを取りにきたことに気づき、私も一緒に現場へ急行。男性看護師から、「意識消失を来した患者で、接触時、頸動脈を触れず、呼吸もなかったため21:06より胸骨圧迫を開始している」と報告を受け、女性看護師が除細動器を取りに行き、私は応援を呼びに行きました。

すぐに複数の医師(研修医を含む)や看護師、ならびに除細動器が到着し、分担してモニター装着と除細動の準備、ルート確保とアドレナリンの準備を進めました。

21:09 モニター装着完了、初期波形が心室細動でした。直ぐに除細動をと考えましたが、パドルの下にあてる導電性ゲルパッドが見つからなかったため胸骨圧迫を継続。

21:11 再度波形が心室細動であることを確認の上、150J(二相式)で電気的除細動を実施。その後直ちに胸骨圧迫を再開。心原性心停止の可能性を考え循環器内科に連絡。

21:12 胸骨圧迫を手で払い退ける動きあり、胸骨圧迫を中止。意識レベルはすぐにGCS 15まで回復。

簡単に患者に状況を説明した後すぐに3次救急初療室に移動、酸素投与を行いながら標準12誘導心電図検査を実施したところII,  III,  aVF誘導でSTの上昇が確認されました。下壁を中心とするST上昇型心筋梗塞(STEMI)の診断で、右室梗塞の可能性を考えて亜硝酸剤は投与せず、アスピリンのみを投与。

処置室に移動してから30分後にはカテーテル検査室へと移動し、緊急心臓カテーテル検査を行いました。その結果、冠動脈のAHA #6に99%狭窄を認め、すぐに経皮的冠動脈形成術を施行し、救命することが出来ました。

今回、突然の意識消失の患者に対して円滑に処置を施し、救命することが出来ましたが、これはチーム医療の賜だなと再確認できました。JMECCで学んだICLSの知識を皆で共有していたからこそ、同時並行で様々な処置ができたと思います。また、内科救急のトレーニングのおかげで、すぐに心原性の不整脈を考え、STEMIの診断に結びつけることができたと思います。惜しむらくは、ゲルパッドが見つからずに波形確認から除細動まで2分程度を要したことですが、この反省を今後に活かし、JMECCのトレーニングを繰り返して行きたいと思います。

私は杏林大学で初期研修を行ったのですが、当時は救急蘇生講習会が院内で開催されておらず、ICLSやACLSを受講したことがありませんでした。研修医時代にはICLSについての知識がなかったがため、救急科のローテート中には多数の心停止症例を経験していたにもかかわらず、何となく上級医の指示通り動いていただけでした。昨年JMECCを受講して、「事前にJMECCを受講していれば、もう一歩早く動くことが出来ていたのではないだろうか、もっとしっかりとしたチーム医療が出来ていたのではないだろうか」と感じました。後輩たちには、なるべく早い時期にJMECCを受講するように勧めています。

2012年11月24日受講